九、黒いと大笑い九、黒いと大笑い第一分隊一番砲井上杉義水兵長は、腹部盲管爆弾弾片創同腸損傷のため壮 烈なる戦死をとげた。 戦闘が一まず止んでから、松岡航海士が艦橋から士官室に下りてきたが、 自分の顔も真っ黒にしていながら、艦長や水雷長が真っ黒だと大笑いした。 自分の顔も硝煙のため真っ黒になっているのを知らないで、白い歯を出して 笑いあっていた。雪風には大和の生き残りの乗員と磯風の全乗員を移乗させ たので各部屋が一ぱいである。 戦い済んだあと、私と山田看護長とは負傷者の治療で一生懸命で、夜がし らじら明けるまで続いた。 |